ここでは「ロボットセラピー」という、みんなの未来に⼤きく関わる可能性のある分野についてお話しするよ。
特定非営利活動法人 日本ロボット・セラピー推進協会
コンテンツ
ロボットセラピーって何?癒やしのテクノロジー⾰命!
「ロボットが⼈を癒す」—この⼀⾒SF映画のようなコンセプトが、実は1999年に⽇本で始まったん
だ!
アニマル‧セラピーはご存知かもしれないね。動物との触れ合いで⼼が癒される素敵な療法だけど、
動物アレルギーの⽅や、施設での衛⽣管理の問題など、課題もあったんだ。
そんな中、「動物の代わりにロボットを使えないか?」というアイデアから誕⽣したのがロボットセラ
ピーなんだ。
参考
MCI(Mild Cognitive Impairment: 軽度認知障害)

認知症高齢者およびMCI高齢者の推定有病率
産業
ロボットセラピーの歴史年表:可愛いロボットたちの物語
黎明期:1999年〜2005年
- 1999年:ロボットセラピー元年!
- ソニーから⽝型ロボット「AIBO ERS-110」が登場
- 産業技術総合研究所からアザラシ型「パロ」誕⽣
- 2000年: ソニーの2代⽬AIBO ERS-210が登場。より愛らしく進化!
- 2001年: オムロンから猫型ロボット「ネコロ」が登場。
- 2002年: パロがセラピー⽤ロボットとして「ギネスブック」に登録される快挙!
- 2003年: ソニーの4代⽬AIBO ERS-7が登場。さらに機能的に!
- 2004年: 計測⾃動制御学会(SICE)でロボット‧セラピー部会が発⾜
停滞と発展:2006年〜2015年
- 2006年: 残念ながらAIBOの製造販売中⽌…でも、この時期にもロボットセラピーの研究は続け
- られていたんだ。
- この時期: 全国の⾼齢者施設や病院で、様々なロボットを使ったセラピーの試みが続けられた時代。
復活と新時代:2016年〜現在
- 2016年: AMED(⽇本医療研究開発機構)がコミュニケーションロボットの⼤規模実証実験を開
- 始
- 2017年: 厚⽣労働省が介護ロボットモデル事業を開始
- 2018年: ソニーから新型AIBO登場!復活を遂げたロボット⽝
- 2019年: 厚⽣労働省介護ロボットモデル事業(第3次)
- 同年: NPO法⼈⽇本ロボット‧セラピー推進協会が設⽴され、ロボットセラピーの普及が加速
活躍する癒やしのロボットたち
- AIBO(アイボ):⽝型ロボット。触れ合いと遊びが得意
- パロ:アザラシ型ロボット。撫でると反応する
- メンタルコミットロボット「PARO-パロ-」 | NDソフトウェア
- ネコロ:
- ネコロ(NeCoRo)の秘密を訪ねて〜オムロン本社訪問記
- オリヒメ:
- 分身ロボット「OriHime」
- ロボホン:⼩型ヒューマノイドロボット。会話とダンスが得意
- ユメル‧ネルル:⾚ちゃん型ロボット。抱っこすると⼼が和む
- NAO(ナオ):ヒューマノイドロボット。ダンスとコミュニケーションが得意
- パルロ:会話型ロボット。クイズや体操の進⾏役
ロボットセラピーの驚くべき効果
- 研究によると、ロボットセラピーには次のような効果があることがわかっているんだ:
- 認知機能の活性化:新しい刺激が脳を活性化
- 😊 精神的な癒し:ロボットとの触れ合いがストレス軽減
- コミュニケーションの促進:会話のきっかけに
- ⾝体活動の活性化:ロボットとの遊びが⾃然な運動に
- 社会性の向上:グループでのロボット活動が⼈間関係構築に
シナリオ型ロボットレクリエーション:新しい⾼齢者ケアのカタチ
特に⾼齢者ケアで注⽬されているのが、「シナリオ型ロボットレクリエーション」だよ!
これは単にロボットを置いておくだけではなく、専⾨的なプログラムに沿って活動を進める画期的な⽅法なんだ。
3つのフェーズで構成されるプログラム
- 導⼊フェーズ(15分)
- ロボットとの触れ合い
- 参加者の緊張をほぐす時間
- メインレクフェーズ(15分×2回)
- ロボットを使った楽しいゲーム
- 例:AIBOと⽟⼊れ、ロボホンと脳楽習ゲーム
- 切替‧終了フェーズ(5分×3回)
- ロボットによるダンスやショー
- クールダウンの時間
ロボットレクリエーションの役割分担
ロボットレクリエーションを実施するためには、きちんとした役割分担が⼤切なんだ。これから紹介する「ロボットレクリエーションマイスター制度」は、この活動をスムーズに進めるための仕組みだよ!
役割と担当者
役割 | 実施内容 | 開発段階の担当 | 将来の担当 |
---|---|---|---|
ファシリテータ‧MC | レクリエーション進⾏:開始、レク内容 の切り替え、終了 | 研究者 | ロボレクマイスター |
ロボット操作 | ロボットの準備、タブレットによる遠隔操作 | 研究者 | ロボレクマイスター |
⾼齢者への働きかけ | ロボットとの触れ合いの説明、レクリエーションへ の参加の促しなど | 介護スタッフ‧研究者 | 介護スタッフ‧ロボレクマイスター |
ちなみに「ロボレクマイスター」とは「ロボットレクリエーションマイスター」の略称だよ。これか
らのロボットセラピー普及のカギを握る新しい専⾨職なんだ!
ロボットレクリエーション 全体紹介・事例
ロボット・セラピー活動:パストーン浅間台
ロボット・セラピー活動:サントピア
参考
「アニマルセラピー」は本当に可能なのか?
https://psych.or.jp/wp-content/uploads/old/55-27.pdf
ロボットセラピーの課題と未来:ロボットシェアリングという解決策
素晴らしい効果が期待できるロボットセラピーだけど、課題もあるんだ:
- ⾼コスト:セラピー⽤ロボットは1台50万円前後と⾼価
- 専⾨知識の必要性:操作や安全管理に専⾨知識が必要
- ⼈材不⾜:導⼊‧運営できる専⾨スタッフが不⾜
例えば、50床の特別養護⽼⼈ホームでロボットセラピーを実施しようとすると:
- 参加者約20名に対して、6〜10台のロボットが必要
- ロボット価格は1台あたり約50万円
- ロボットの知識を持つ専⾨スタッフが必要
- 安全確保のための介在者も必要
これを施設単独で導⼊するのは、コスト⾯でも⼈材⾯でもかなり難しいんだよね。
ロボットシェアリングシステム:未来のカタチ
この課題を解決するために⽣まれたのが「ロボットシェアリングシステム」だよ!
拠点センターがロボットを所有し、必要に応じて複数の施設(ブランチ)に貸し出すシステムなん
だ。
ロボットセラピーネットワークの導⼊効果
個別導⼊⽅式とセンター⽅式の効果を⽐較してみよう!
項⽬ | 個別導⼊⽅式 | センター⽅式 |
---|---|---|
初期投資 | ‧10台のロボット:500万円 ‧全ブランチ合計:6,250万円 | ‧20台のロボット:1,000万円 |
年間費⽤ | ‧保守費:50万円
‧⼈件費:50万円 ‧⼩計:100万円 ‧全ブランチ合計:1,250万円 | ‧保守費:
100万円 ‧⼈件費:500万円 ‧⼩計:600万円 |
導⼊効果の試算(期間別の総費⽤⽐較)
期間 | 個別導⼊⽅式 | センター⽅式 | 削減率 |
---|---|---|---|
1年 | 7,500万円 | 1,600万円 | 79% |
3年 | 1億円 | 2,800万円 | 72% |
5年 | 1億 2,500万円 | 4,000万円 | 68% |
10年 | 1億8,750万円 | 7,000万円 | 63% |
なんと、センター⽅式を使うと最⼤79%ものコスト削減効果があるんだ!しかも専⾨知識を共有でき
て、効率的にロボットを活⽤できるというメリットもあるよ。
ロボットレクリエーションマイスター:新しい専⾨職の誕⽣
効果的なロボットセラピーを実施するために、新たな専⾨職「ロボットレクリエーションマイスター」
の資格制度も⽣まれているんだ。
- 1級マイスター:センターに常駐し、技術指導を担当
- 2級マイスター:各ブランチでロボットレクリエーションを実施
市場規模と未来予測:2025年には1,000億円市場に!
試算によると、2025年には:
- ロボットセラピー対象者:約151万⼈(認知症患者550万⼈の10%、MCI対象者480万⼈の20%)
- 必要なブランチ数:約12.5万カ所
- ネットワーク拠点数:約1万カ所
- 必要なロボット数:約20万台
- 市場規模:約1,000億円
さらに健常⾼齢者(2,630万⼈の10%)まで含めると:
- 対象者:約414万⼈
- 必要なロボット数:約55.2万台
- 市場規模:約2,760億円の可能性!
これは2021年の産業ロボット市場規模(約6,000億円/年)と⽐較しても、かなり⼤きな市場になる可
能性があるんだよ!
実習で体験してみよう!
次回の授業では、実際にAIBOやパロなどのセラピーロボットを使ったロボットレクリエーションを体
験するよ。グループに分かれて、実際にシナリオを考えてみよう!
次回の課題:
- 興味のあるセラピーロボットを⼀つ選び、その特徴と活⽤⽅法を調べてくる
- 「もし⾃分がロボットセラピーを企画するなら」というテーマで、簡単なシナリオを考えてくる
次回の実習で、みんなのアイデアを形にしていこう!ロボットと⼈間の新たな関係性を⼀緒に探求し
ていこうね!
コメント返し2025
導入・普及に関する質問・意見
病院や施設でのロボットセラピー導入状況について
学生コメント: 病院や施設でロボットセラピーを導入しているのは全国で何件あるのか気になった
講師の反応:
老人ホームでの活用効果への期待
学生コメント: 私がアルバイトをしている老人ホームでもホールでテレビを見ていたり静かな人が多いので このようなロボットを取り入れることで 施設の中の雰囲気が明るくなり笑顔が増えるなど いい影響を与えると考える
講師の反応:
- 体験談への感謝を表明
- ホームや施設に限らず、家庭内でも同様の状況が多いと推測される
ロボットの技術・機能に関する議論
動物型ロボットの開発提案
学生コメント: 犬や猫の形のロボットはあるが近年では取り合う 作業 飼ってる人もいると思うので 取り扱いの形だろうと の制作されるといいな と考える
講師の反応:
- 学生の考えに同意
- 実際に発売されている商品があることを紹介
- 参考URL:https://www.takaratomy-arts.co.jp/specials/healingpartner/hp_chunta.html
ロボットの体温表現について
学生コメント: ロボットは動物と違って 体温のようなものを感じたりはできないが…
講師の反応:
- 放熱をうまく使って体温を表現している製品が存在することを説明
- 参考URL:https://robotstart.info/2018/12/18/lovot-experience-technology.html
音声認識機能の仕組み
学生コメント: ロボット犬に名前をつけてそのまま 呼ぶと 近くまで来てくれるというものを見たのですがロボットはどうして記憶できてるんでしょうか イントネーションを変えても近づいてきていました
講師の反応:
- 音声認識技術による成分解析で名前を認識していると説明
- より困難な課題として、飼い主以外の人が呼んだ際の精度の高い判別を挙げる
運用上の課題・懸念
故障や対応の心配
学生コメント: ロボットの接客はいいと思うが ご対応や 故障が心配だと考えた
講師の反応:
- 人間の対応不良や体調不良も同様の問題があることを指摘
- これを防ぐために無理や我慢をする部分が問題だと分析
過度な愛着への対処法
学生コメント: もし高齢者の方がロボットに愛着を持ちすぎて人質占めてことがあればどう対処するのでしょうか
講師の反応:
- この状態ではロボット以外への執着も持っていると推測
- まず気持ちを受け止めることの重要性を強調
- 強制的な怒りや圧力でのコントロールは絶対に避けるべきと指摘
- ただし、他者への危害や生命に関わる場合は強制的な介入が必要
社会的・哲学的考察
開発者と利用者の距離感
学生コメント: 介護ロボットを作る人を使う人との距離が遠いというのがすごい 納得できました
講師の反応:
- 人間社会につきまとう二元論的な問題として捉える
- 正義と正義のぶつかり合いが戦争に発展する危険性を指摘
- 相手の視点に立ち共感することの重要性を強調
- 解決の第一歩として「自分の心を認めること」「惨めさを受け入れること」の必要性を提起
認知症予防への効果
学生コメント: 社会とのつながりが認知症の発症の原因になっていることを知ったが、つながりを増やすことができれば認知症を防ぐことができるのか気になった
講師の反応:
- 実際の効果については不明であることを認める
- もし効果がない場合の代替案として、ジャイナ教のような死の準備への取り組みを示唆
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