
今回は初の試み「言語優位者の憂鬱」シリーズ!皆さんがちょっぴり勘違いしちゃってるかもしれない言葉について、お話していきたいと思います。シリーズ第一回目のテーマは「失笑」!
失笑って聞くと、どんな感じがしますか?「笑いを失う」と書くから、きっと「呆れて笑えない」とか「苦笑い」みたいな、なんかシリアスな状況を思い浮かべる方が多いんじゃないでしょうか?正直に言うと、以前は私も「笑いをこらえる」っていう意味で覚えていました。

でも、これが違うんですよ!
実はこの失っていう漢字は、失言(※)の失と一緒で、「うっかり〜してしまう」っていう意味なんです。(※配信中では間違えて”失念”と言ってしまっています💦)
なので、本来の失笑の意味は「笑うのをこらえきれず、思わず吹き出してしまう」ことなんですね。驚きました?
この失笑という言葉が持つ本来の雰囲気を、よく表しているお気に入りの映画があります。それは、映画『セブン』に出てくるワンシーンなんです。刑事モノが好きな方はご存知かもしれませんね。全体的にかなり残虐でグロいシーンがあるので、苦手な方はご注意ください。
その失笑シーンの具体的な内容を簡単に説明しましょう、ネタバレ注意!
(ただし、ストーリーの本筋には関係ない部分です)
※注意!ここから先は映画『セブン』のネタバレを含みます。(下記矢印部をクリックすると表示)
【ネタバレ】映画『セブン』の失笑シーン説明を見る
映画『セブン』の主人公は、引退間近のベテラン刑事(モーガン・フリーマン氏)。彼が部下になった若手刑事(ブラッド・ピット氏)の自宅で食事をすることになる。
すると食事しながらの穏やかな歓談中に、突然ガタガタガタッ!と激しい揺れが始まる。

「地震!?」と思ったら、実はアパートの下を通る地下鉄の振動だった!なんとこの物件、不動産屋がなぜか内見を毎度5分間しかさせてくれなかったという経緯。住んでみて初めてこの揺れに気づくという、いわくつきの部屋だった。
この話を聞いたベテラン刑事さん、ふいに
「Soothing, relaxing, vibrating home…」
とつぶやいた直後…
…静かに吹き出し始め、 いったん「あ、失礼」ってお詫びするんですが、とうとう堪え切れずに「プフーッ!ワハハハハッ!」と爆笑し出してしまうという( ´艸`) しまいには、その場にいた若手刑事の奥さんまでつられて一緒に笑い出す、なんだかとても微笑ましいシーンなんですよね✧
ちなみに、何がそんなに面白いかというと、上の英語のセリフを直訳すると
「心地よく、解放的な、ワクワクする我が家」
というような不動産屋の謳い文句なんですが…
この「ワクワクする=vibrating」を「(物理的に)揺れる=vibrating」と掛けているワケですね!揺れる我が家ww これはウマい!
この、笑いをこらえようとして、でも面白すぎて思わず「ぷふーっ!」って吹き出しちゃう感じ!これこそ正に「失笑」だなぁと、すごく印象に残っています。
どうでしたか? 失笑して失礼な振る舞いをしているのに、こんなにポジティブで温かい気持ちになるシーン、素敵だったでしょう😊
もし、お仕事で言葉遣いに厳しい上司の方がいたり、年配の方とお話しする機会があったりしたら、この「失笑」のエピソードを披露してはいかがでしょう?もしかしたら、「お、こいつはユーモアがあって、日本語をしっかり知ってるな」って思われて、気に入られるかも?
ちょっとした言葉の知識が、意外なところで役に立ったりする。今回はそんなお話でした。
それではまた、次のテーマでお会いしましょう!
参考
映画『セブン』
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