今回は、ちょっとドキッとするテーマ「見下しの止め方」についてお話ししたいと思います。
「そんなこともできないの?」
「なんでこんなことができないの?」
そう思ってしまうこと、ありませんか?人間ですから、誰しも一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。
私も過去には、知らず知らずのうちに、あるいははっきりと「見下し」の感情を抱いてしまうことがありました。でも、それって、実は自分自身を苦しめていることにもつながるんですよね。
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見下しの感情の裏にある「才能」

私がいつも紹介している八木仁平さんの自己理解メソッドでは、「こんなこともできないの?」と思えることこそ、自分の長所や才能である、と教えてくれます。
例えば、私は「その場にあるものでなんとかすること」や「今できる範囲で改善すること」が得意です。だからこそ、そういったことが苦手な方を見ると「どうしてこれができないんだろう?」と思ってしまうことがありました。しかし、これは私の才能であり、私にとっては当たり前にできることだからこそ、相手ができないことに驚きを感じてしまう、ということなんですね。
つまり、相手の「できない」は自分の「できる」の裏返し。決して、相手が劣っているわけではないのです。
「そんなこともできんのか!」が招く才能つぶし
私が以前働いていた職場で、ある上司が「そんなこともできんのか!」と部下に厳しく接している場面をよく見かけました。今振り返ると、これは相手の勇気をくじいてしまう行為だったと感じます。
勇気をくじかれた人は、自信を失い、挑戦することを恐れるようになります。結果として、本来持っている能力を発揮できなくなってしまうことも少なくありません。これは、誰にとっても不幸なことですよね。
そんな勇気くじきが当たり前になってしまうと、結局はその上司にとっても、能力を損ねてしまう環境が出来上がってしまいます。それじゃもったいないですよね。
相手の視点に立ってみる
では、どうすれば見下す気持ちを手放せるのでしょうか?
私は、次の2つの視点を持つことが大切だと考えています。
1.相手の「苦手」を自分の「才能」と捉え直す
先ほどもお話ししたように、「相手ができないこと」は、あなたにとっては「当たり前にできること」、つまり「才能」である可能性が高いです。
これは、劣っている、ではなく、ただ「違う」だけなんです。
人それぞれ得意なこと、楽しめることは異なります。それを「違い」として受け入れることが、見下しの気持ちを手放す第一歩になります。
2.相手の視点に立ち、サポートする
もし、あなたが誰かの「苦手」に直面したとき、それはあなたの才能を活かして、その人をサポートするチャンスと捉え直してみませんか?
特に、親や上司、先輩、先生といった立場にいる方は、この視点がとても重要だと思います。
例えば、お子さんが何かの作業に苦戦しているとき、親御さんは「どうしてこんな簡単なこともできないの?」と思ってしまうかもしれません。でも、お子さんにとっては、それが初めての経験で、まだ「コツ」を掴んでいないだけかもしれませんよね。ましてや親子であっても、親にできていることが子供にできなくても、それは当たり前というか、そういうこともあるよね、という視点が必要です。
私も、かつて仕事で後輩を指導する立場にあったとき、「なんでこんなに時間がかかるんだろう」と心の中で思ってしまうことがありました。しかし、そこで「もしかしたら、この人は別のやり方ならもっとスムーズに進められるのかも」「分かりやすい伝え方を工夫すれば、理解が早まるかもしれない」と、相手の視点に立って考えるように努めました。
すると、自然と「どうすれば相手が一番やりやすいだろうか」「どうすれば分かりやすく情報を伝えられるだろうか」という建設的な思考にシフトしていくことに気づきました。

見下した時こそ、自分が挑戦できていないサイン
そして、最も重要な気づきがこれです。
「他人を見下した時こそ、自分が挑戦できていない証拠」

私自身、仕事で停滞感を感じていた時期や、新しいことへの挑戦をためらっていた時期ほど、他人の至らない点ばかりが目に付き、「なんであんなこともできないんだ」と、心の中で見下してしまうことが多かったように思います。
なぜなら、自分が満たされていないとき、人は他人の欠点を探し、一時的な優越感を得ようとする傾向があるからです。
自分が満たされていれば、他人の良い面に自然と目が向くようになりますし、心に余裕が生まれるので、相手の苦手な部分も「仕方ない」と受け入れ、サポートしようという気持ちになれるのです。
惨めさを受け入れる勇気
「惨めさを受け入れる(惨入楽為)」という私の今年のテーマにも通じますが、人間は完璧ではありません。誰しも至らない点、苦手な点があります。そして、それはあなた自身も同じです。
他人を見下すことで、自分の完璧ではない部分から目を背けているのかもしれません。
自分の「惨めさ」や「弱さ」を認め、受け入れる勇気を持つこと。それが、他人をありのままに受け入れ、見下しの気持ちを手放すための大きな一歩になります。
まとめ

見下しの気持ちが芽生えたら、ぜひ立ち止まって考えてみてください。
- それはあなたの「才能」の裏返しではないですか?
- その他者が苦手な(=才能の短所使いをしている)だけ、ではないですか?
- あなたは今、何か新しいことに挑戦できていますか?
自分を満たし、そして他者との違いを認め、尊重する。それを、少しずつでいいから続けていく。そうすることで、心穏やかに、そして幸せに気づける毎日を送っていけるはずです。
参考
『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』 八木仁平 著(KADOKAWA)
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